Apr 26, 2009

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東北大学 多元物質科学研究所(多元研)および原子分子材料科学高等研究機構(WPI)は、超臨界アンモニアを用いる「アモノサーマル法」によるGaN結晶成長において、酸性鉱化剤の気相合成法を開発し、育成結晶中の残留酸素濃度が従来の1/100以上低いGaNバルク単結晶の高速育成に成功した。また、これを基板結晶とし、歪みのないGaN結晶や、原子層オーダーで平坦かつ急峻なAlGaNとGaNのヘテロ接合のエピタキシャル成長にも成功、ヘテロ界面に形成される2次元電子ガスの観測も行った。

アモノサーマル結晶育成とヘテロ構造の有機金属化学気相エピタキシャル(MOVPE)成膜技術は、東北大多元研・窒化物ナノエレクトロ二クス材料研究センターの石黒徹研究室ならびに横山千昭研究室、秩父重英研究室とWPIの福田承生研究室が共同体制で開発してきたもの。

アモノサーマル法は、人工水晶の製造に用いられている「水熱合成技術」で用いる超臨界水を超臨界アンモニアで置き換えた、量産に向いたソルボサーマル法だが、窒化物結晶を対象とするため、特殊な鉱化剤を添加した、超臨界圧アンモニア環境に耐えるオートクレーブで結晶育成を行う事が特徴。従来は、400MPaに達する高圧条件で塩基性鉱化剤が用いられてきたが、高圧に耐えるための圧力容器の大型化には工業的限界があり、また、育成速度が遅かったため、低圧かつ高速育成技術の開発が求められていた。

東北大らによる研究グループは、酸性系のハロゲン元素を含む鉱化剤の最適化研究を進め、500℃を超える高温域で、六方晶単相結晶構造を有するGaNバルク単結晶の高速育成技術を開発。同技術は人工水晶製造とほぼ等しい圧力条件である200MPa以下の低圧で、従来技術より約5倍速い高速成長が可能となっている。

アモノサーマル法で育成したGaN中に多く含まれる主要な不純物として酸素があるが、酸素の混入源は、アンモニアガスや鉱化剤に含まれる水分、オートクレーブ内の水分、原料中に含まれる酸素不純物などが考えられている。オートクレーブ内の水分は、真空状態で加熱処理(ベーキング)をすることで除去することができるが、鉱化剤(NH4X)は吸湿性があり、酸素の混入源である上に、昇華性を有するため、ベーキングによる水分の除去が出来なかった。

今回、オートクレーブ中で乾燥したアンモニアガスとハロゲン化水素ガスを反応させて鉱化剤を合成する、気相鉱化剤合成(Gas phase synthesis(GPS))法を開発。同手法は、原料や種結晶、バッフル板などをオートクレーブ内に挿入しベーキング処理をした後、オートクレーブ内にアンモニアガスおよびハロゲン化水素ガスを充填し、オートクレーブ内でハロゲン化アンモニウムを合成するもので、吸湿性を有する固体鉱化剤使用時に1021atoms/ccあった酸素濃度が、これにより1/100の1019atoms/cc台まで減少したことが確認された。

今回開発された高速成長技術を用いることで、Ga極性側のGaN成長速度は従来の約10倍以上になったほか、高純度化技術により不純物密度が低く、本来のGaNの格子定数を有する結晶を育成できるようになったため、GaNデバイス構造の形成が可能となり、アモノサーマルGaN基板上にGaN系デバイスの薄膜エピタキシャル成長に用いられているMOVPE法を用いてGaNを成長させる場合、表面が一分子層の段差程度のレベルで平坦、かつ歪みが無い薄膜成長ができるようになった。

また、GaN系ヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)やLED、レーザの活性層・障壁層を構成するAlGaNとGaNのヘテロ接合を成長させたところ、界面に蓄積される2次元的な電子ガス面(2次元電子ガス:2DEG)を起源とする発光を捉えることができた。

こうした成果を受け、研究チームは、アモノサーマルGaN基板が高性能デバイス用基板としての素養に優れる事を示す結果であり、今後の基板の大型化に期待が寄せられると説明している。

[マイコミジャーナル]

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科学技術振興機構(JST)は、独創的シーズ展開事業・委託開発の開発課題「LEDモスアイ構造製造技術」として名古屋大学 大学院工学研究科 天野浩教授らの研究成果をもとに、エルシードに委託して、企業化開発を進めてきた研究内容について成功と認定したことを発表した。

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従来の白熱電球や蛍光灯からエネルギー効率の高いLED照明に置き換える動きが国内外で進んでおり、LED素子のさらなる高出力化が求められるようになってきている。しかし、LED素子内で発光した光の一部は素子外部に取り出されることなく内部で熱となってしまうという課題があった。これまでも、光取り出し効率を向上させるために、LED基板上を凹凸加工することで光の全反射を抑制する方法などが採用されていたが、さらなる光取り出し効率の高い技術の開発が求められていた。

こうした中、天野教授らの研究により、金粒子の自己組織化を利用したマスクをもとにLED基板上にモスアイ構造を試作し、光取り出し効率を向上できる可能性も出てきていた。

今回開発された技術は、低エネルギー電子線投影露光法を用いて、低コストで生産性の高いモスアイ構造をLED素子材料上に製作するもので、これにより光取り出し効率の高い高性能LEDが量産可能となるという。

モスアイ構造をLED素子材料上へ製作する際は、基板上に電子線投影露光によるステンシルマスクのパターンを形成したあと、ドライエッチングによりコーン形状をしたモスアイ構造の形成を行うが、製作過程では、高い精度でしかも処理能力の高いパターン形成技術と、サイドエッチングによってモスアイのコーン形状を形成するテーパ角制御技術の確立が重要なポイントとなっていた。

電子線投影露光による高精度なパターン形成では、電子線加速電圧や電子の量(ドーズ量)によって最適な露光条件を決定した。また、処理能力向上のためにパターンのホール径や基板表面に塗布するレジスト材料の最適化を実施。この結果、2インチサイズのウェハで1分程度でパターン形成を行うことを可能とした。

テーパ角制御では、エッチング耐性の高い層と耐性の比較的低い層の2層構造を採用、両層の膜厚やその比率によってテーパ角制御を可能とした。同製作工程は、AlGaInP系結晶、窒化物系結晶やサファイアなど各種のLED基板材料に適用可能であり、さらにモスアイ構造製造技術をもとに、実際のLED素子上にコーン形状体を形成する場合の最適なアスペクト比(高さと周期の比)と周期について検討を実施。その結果、アスペクト比についてはおよそ1以上が望ましいことが分かり、コーン高さ500mmでは最適周期が500mmとなった。

これらの結果を実際の赤色や青色など各種LED基板に適用し、モスアイ加工しない場合と比較して光出力が1.7倍〜2.5倍、また、基板上直角方向の光度が2倍〜3.5倍向上する効果を確認したという。

なお、JSTでは、同技術を用いることで、既存のさまざまなLED基板材料の上にモスアイ構造を製作することが可能となることから、白色LEDをはじめ、高効率、高出力を必要とする広範なLED製品への応用が期待されるとするほか、同技術を適用しても全体のコストへの影響が小さいため、LED素子の光出力向上技術として有望であり、高出力LED製品の普及が進むことが期待できるとしている。

[マイコミジャーナル]


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